「実践」の名に偽りなし 〜書評「Amazon Web Services 実践入門」〜

ニコニコ動画とAWS

ニコニコ動画のインフラ、というと巨大なオンプレミス環境というイメージをお持ちの方が多いようです。実際ほとんどのサービスはオンプレミス環境で動いており、一時期は「日本のインターネットトラフィックの10%を占めている」などと言われたりもしました。

ところが今年に入って、弊社ではAWSの利用が急増してきました。AWS Summit 2015では「ドワンゴが AWS を使ってみた」というセッション(レポート / スライド / 動画)で、LDRの事例を紹介しています。

また、10月にリリースされた「ニコナレ」や「ニコルン」といった新サービスも、オンプレミス上の基盤システムをAWS上のサービスから利用する、という形で構築されています。特に「ニコナレ」のバックエンドで稼働しているメディアストレージはマネージドサービスを多用しており、スピーディなリリースに寄与しています(詳細 : RubyとAWSでつくるメディアストレージ基盤 – Qiita)。

このようにAWS活用の流れは加速しており、来年以降も事例は増えていく見通しです。

「実践 = 仕事」でAWSに入門するために

しかし、AWSの利用経験は乏しかった弊社、インフラ担当のエンジニア陣は試行錯誤の連続でした。僕が見ていた「ニコナレ」チームでも悪戦苦闘し、なんとかリリースにこぎつけたころ、「Amazon Web Services 実践入門」という本が出版されたのです。


著者のひとりであるリーダーことサーバーワークスの舘岡さんがfacebookで「本書いたのであげるよ〜」とアピールされているところにでくわしたので、ちゃっかり挙手してご恵贈いただきました。

全体に実践的な内容を軸として書かれており、Webサービスをひとつ、EC2によるApp / RDSによるDB / VPCとDNS / S3とCloudFront、というわりと一般的な組み合わせで構築するために必要なことが的確にまとまっています。

CLIによる操作をしっかり説明してあるのもポイントです。ブラウザでぽちぽち設定していくのは手軽でいいのですが、継続的に運用していくためにはコードによるオペレーションが不可欠です。早い段階からCLIによるオペレーションに馴染んでおくことは、運用フェーズの手間を大きく減らしてくれるのではないでしょうか。

いいがかり

惜しい点はたったふたつ。

ひとつめは、もっとIAMについて詳細に書いてあれば…というところです。Identity and Access Managementの名の通り認証とアクセス権の管理をしてくれる仕組みですが、これが「ユーザー」にも「リソース」にもひもづいたりと、AWSを使い始めると最初にぶつかる大きな壁、というイメージを持っています。この辺をもう少し詳細に、入門から応用まで広げてくれると助かるな、と感じました。

ふたつめは、出版時期。「ニコナレ」のインフラ構築真っ最中の時期に、本書が出版されていればもうちょっとスムーズに構築できたのに…、と、八つ当たりのような感想を持ちました。

まとめ

本書の内容は、一般的なWebアプリケーションを構築するには十分詳細なものです。基礎的なことを本書で学んでおくと、日々進化するAWSの魅力的な機能を使いこなす下地となるでしょう。
余暇にちょっとやってみる、ではなく、仕事で「実践」するためのガイドとして、頼りになる存在です。

リーダー、素晴らしい本をありがとうございました!


あわせてよみたい : AWS – Amazon Web Services実践入門を読んだ – Qiita

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