この記事は「新卒準備カレンダー 2011春」および「108番目のきのこを生やす会」への参加記事です。

はじめに


がんばろう日本

2011年3月11日に発生した「東日本大震災」に被災された方に、心からお見舞い申し上げます。いつもの毎日が、一日も早く戻りますように。

お前、誰よ?

だいぶ歳を食ったプログラマです。来年(2012年)には不惑を迎えますが、いまだに惑いまくり。

職歴

フリーターをしていたらなぜかゲーム業界に入り、家庭用ゲームの制作を8年ちょっと(前半4年は企画職、後半4年はプログラマ)。結婚を機に転職し、数度の転職を経て、いまはCP(コンテンツプロバイダ)でプログラマをしています。

プログラミング歴

中学生の頃に8bitマイコン(X1 turbo)でBASICを触りました。しばらく空白があったのち、ISDNの時代には趣味でperlやPHP。ゲーム屋ではC/C++やJava。転職後はC/C++、PHP、Java、C#など。今は主にRubyを書いています。

で、何が言いたいの?

自己紹介を読んでいただくとうすうす察しはつくと思いますが、大学には行ってないし新卒で就職したこともありません。なので、新卒について語れることはほとんどないのですが…そこは「自重はダークサイド」という言葉もありますし。IT業界にこれから入る新卒のみなさんに、新卒の経験「以外」でお話しできることを書こうと思います。

転職の準備をしよう

これから新入社員になるみなさんに、いきなり転職の話をします。ちょっとした暴挙とも言えますが、おつきあいいただければ幸いです。

終身雇用制度の終わり

終身雇用制度は崩壊した、という話を、どこかで見聞きしたことはないでしょうか。

少し前の日本では、新卒で就職した会社に定年まで勤めることが当たり前でした。40年ほど働き、退職金と年金をもらい、老後はのんびり暮らす。それが普通のキャリアパスだったのです。

しかし、この20年で社会情勢は大きく変わりました。高度成長のあと「失われた20年」と言われる時期があり、さらにこの大震災です。復興のために、社会の変化はさらに加速していくでしょう。

そんな時代に新入社員となる皆さんは、40年後も同じ会社で働いているご自身の姿を想像できますか?「アタリマエ」か、それとも「アリエナイ」か。少し考えてみてください。

「アリエナイ」な人へ

今度入社する会社に、定年まで勤務するとは思えない。そう考えるあなたは、遅かれ早かれ「転職」というイベントを迎えることになるでしょう。

私の経験から、転職の準備は「早い方がいい」と断言できます。将来転職する見通しがあるなら、明日から準備を始めましょう。

「転職の準備」といっても、いきなり人材エージェントにコンタクトするわけではありません。転職するためにはまず…

  • 転職市場が求めている人材やスキルを把握する
  • 自分をアピールできる材料を揃える

…ことが必要です。どちらも時間があれば入念な準備ができるのは自明ですね。

「アタリマエ」な人へ

うらやましいですね。転職には大なり小なりリスクがあるので、しないですむならそれにこしたことはありません。

でも、会社を移る時のほかに、「自分をアピールする場面」はないのでしょうか?

たとえば、あなたの会社で新しいプロジェクトが立ち上がったとします。とても面白そうで、やりがいもありそう。あなたは「ぜひ参画したい」と思いました。

そんなプロジェクトなら、きっと同僚のみんなも参画したいでしょう。希望どおりにアサインされるためには、いかに自分のスキルがそのプロジェクトに役立つかをアピールする必要が出てきたりしないでしょうか。

また、どんなスキルが必要とされているかを知っておくことも無駄にはなりません。転職市場で必要とされているスキルなら、会社で取り組む案件でも必要とされる可能性は高いでしょう。

敵を知り、己を知れば

どうやら転職するにしてもしないにしても、「転職の準備」をしておくことは無駄にならないようです。ではその「準備」について、具体的に書いてみましょう。

転職市場が求めている人材やスキルを把握する

あなたに素晴らしいスキルがあったとしても、それを活かせる仕事がなければ宝の持ち腐れです。また、市場が求めているスキルは、そのまま「現在注目されている技術」と言い換えることもできます。

今どんなスキルが求められているかを知ることは、自分に不足しているところを補ったり、得意な部分を伸ばしたりするのにとても有益な指標になります。

IT系のwebメディアやblog、さらに「転職サイトそのもの」を見る習慣をつけると、現在求められているスキルとは何かが見えてくるはずです。

自分をアピールできる材料を揃える

ITエンジニアが転職活動をする場合、一番多いのは人材エージェントを介するケースでしょう。転職サイトなどを通じて人材エージェントにコンタクトし、スキルシート(職務経歴書)を作り、それを求人している企業に送り、書類選考→面接→採用、という流れが一般的です。

この「スキルシートを作る」ということが、アピール材料を作る第一歩として役立ちます。

スキルシートとは、今までやってきた仕事とその中で得た経験やスキルを一覧にして、読み手に「この人は何ができるのか」を伝えるためのものです。仕事について自分をアピールするためにはほぼ必須のドキュメントと言えるでしょう。

さらにスキルシートを書くことは、自分のキャリアをふりかえり、スキルの棚卸しをすることも兼ねています。先ほどの「敵を知る」が実行できていれば、スキルシートを作成しているうちに、次に学ぶべきトピックに気づくこともあるでしょう。

アピールをしよう

ここまで、転職をするにしてもしないにしても、「市場調査」と「自己アピール」が必要だ、というお話をしてきました。そのうちの「自己アピール」について、もう少し掘り下げてみます。

スキルシートの次にすべきこと

スキルシートはあくまでも過去の経験をまとめたものです。もちろん自己アピールのためには大事なドキュメントですが、限られた紙面で十分なアピールができるか?といえば、十分ではないことがほとんどです。

ではスキルシートができたら、次に何をすべきか。それは「普段の行いをアウトプットする」ことです。

みなさんはtwitterアカウントはお持ちでしょうか。facebookは?はてなは?githubは?また、自分のblogは?

これらソーシャルメディアへ、普段の行いをアウトプットしておくことが、自己アピールにおいては強力な武器になります。

直面した問題とその解決をblogに書いておくことで、スキルシートより雄弁に自分のスキルをアピールすることができます。普段考えたことをtwitterに書いていれば、人間性についての判断材料にできます。githubでコードを公開していれば、直接力量を見せることもできるでしょう。

これらのアウトプットが充実してくれば、やがてスキルシートに書くべきことは、各種メディアのURLだけになるでしょう。

アウトプットすることによる学び

また、アウトプットすることは、自分のスキルを磨くことにもつながります。

人間誰しも見栄の心はありますから、自分のblogに間違ったことは書きたくないでしょう。そのためには、書いたコードや解決策を再度確認することになります。この「ふりかえり」の作業が、経験を確かな「知識」として定着させてくれます。

また、間違ったことを書いてしまったとしても、公開することでツッコミがもらえるかもしれません。間違いを指摘されると恥ずかしい気持ちになりますが、間違ったまま時間が過ぎることのほうを恐れるべきです。いただいたツッコミもまた、成長するための貴重な資源となるでしょう。

自己アピールを意識しながらアウトプットすると、自分のスキルも磨かれていく。そういうよいサイクルを回せるようになると、皆さん自身にとっても社会全体にもプラスになり、「幸せの総量」が増えることになるのです。

おわりに

長々とおつきあいいただきありがとうございました。みなさんが社会人として踏み出す第一歩が明るいものでありますように。そして、どこかの勉強会でお会いできるのを楽しみにしています。

まとめ
  • 転職の準備とは「自己アピール」の準備である
  • 市場調査とスキルの棚卸しをしよう
  • アウトプットすることで「自己アピール」と「スキルアップ」をしよう

新卒準備カレンダー 2011春 : ATND

http://atnd.org/events/13324

108番目のきのこを生やす会 : ATND

http://atnd.org/events/11274

Wife Hacks ~仕事と家族とコミュニティと~: 書類審査で落とされない「職務経歴書の書き方」

http://el.jibun.atmarkit.co.jp/wifehacks/2010/01/post-3b69.html

Amazon.co.jp: プログラマが知るべき97のこと: 和田 卓人, Kevlin Henney, 夏目 大: 本

http://amzn.to/fqBF5H

次回予告

次は@rokujyouhitomaさんです。よろしくお願いします!