Slackは環境である 〜書評 : 「Slack入門 ChatOpsによるチーム開発の効率化」〜
ソフトウェアエンジニアのあいだで人気が高まっているチャットサービス「Slack」。みなさんはもうお使いですか?
洗練されたUI、柔軟な他サービスとの連携、オープンなAPIなど、エンジニアにとってはグッとくる特徴を備えています。僕の周囲でも他サービスからSlackに乗り換える会社が多く、プライベートなコミュニティがSlack上に構築されることも増えてきました。
そんな盛り上がりを見せているSlackに、待望の入門書が出版されました!それがこの「Slack入門 ChatOpsによるチーム開発の効率化」です。著者の@matsukazさんからご恵贈いただいたので、書評させていただきます。
ChatOpsって知ってるかい?
「ChatOps」はわりと新しい言葉ですが、意味はシンプルで、「普段業務で使っているチャットツールからシステムの開発・運用オペレーションを行うこと」を指します。言葉が定義される前から似たようなことをしていたよ、と心当たりがある人もいるでしょう。名前がつくって重要ですね。
普段使っているツールから離れずに仕事を進めたい、というのはエンジニアとして自然な欲求です。Slack上で各種オペレーションを行いたい、そんな欲求を満たす上で確かなガイドになってくれるのが、「Slack入門 ChatOpsによるチーム開発の効率化」(以下「本書」)なのです。
「Slack入門」ではなく「ChatOps入門」
Slackは高機能なツールで、設定項目も多岐に渡ります。本書の前半は基本的な使い方を簡潔かつ丁寧に解説してあり、ゼロから使い始めるにも十分親切な入門書と言えます。しかしあくまでもメインは「ChatOps入門」。APIと各種Integrationを使いこなしてこそSlackの真価が発揮されるという明確な意思を、本書からは感じました。
本書の第4章は、まるまるHubotの導入と開発入門にあてられています。ChatOpsにおいてBotの存在は不可欠ですから、この章は貴重です。
そして第5章はAndroid Studio / GitHub / CircleCIを連携させた、モダンで具体的な開発環境の構築例です。これだけ丁寧で具体的なサンプルがあると、ChatOps始めてみようかというときにグッとハードルが下がるように感じました。
Slackは環境である
ぜひ試していただきたいのが、第3章で紹介されている各種APIです。自分好みの環境をSlackに構築するにはAPIを活用する必要があるので、ちょっとした小物からでも触っておくと、何か必要になったときスムーズにアイデアを実現することができます。
僕はRubyistなのでRubotyというRuby製のBotを使い、各種生活が便利になる仕掛けを仕込んでいます(という記事を去年書いた)。グループウェアからの通知を受けたり、簡単なToDo管理をしたり、朝晩予定を知らせてくれたりと、生活を便利にしてくれています。
また、雑多なあれこれを流すチャンネルを作成し、気になるTwitterアカウントやRSSフィードを流したり、IFTTTと連携して位置情報を流したり。Twitterのエゴサーチを流す、なんて使い方もあります。
アイデア次第で無限に使い方が広がるSlack。本書はSlackを環境として使いこなすための入門書としておすすめできる1冊です。チーム開発や日々の生活を効率化しましょう!